会社に大きな功績があった方が亡くなった場合には、会社が主体となって葬儀を行うことがあります。一般的な葬儀では個人の遺族が施主となりますが、個人が属していた企業が施主となって開催するのが会社葬です。葬儀では弔問客は、個人の霊前に供えるための香典を持参します。これは大切な人を亡くした遺族を慰めるためのものと考えられています。そして、遺族から法要が済んだお礼として香典返しが渡されます。会社葬の場合にはどのように香典返しをすればいいのでしょうか。
一般的な葬儀と会社葬の違い
一般的な葬儀は、規模の違いはあっても故人の遺族など個人が主体となって行うものです。商売をしている家などでは付き合いが広く、何百人もの人が出席することもあります。その反対に家族葬のように、親しい身内だけで行う葬儀もあります。配偶者や子供など遺族の代表が喪主になって葬儀を取り仕切り、葬儀費用などを負担する施主も務めるのが普通です。会社葬の場合には喪主を務めるのは遺族ですが、企業が施主になって葬儀費用を負担したり葬儀の運営を手助けしたりします。その企業の社長などが、葬儀委員長になることが多いです。会社葬というと大規模な葬儀をイメージすることが多いですが、中小企業などでも行われています。大体、会社を創業した人や大きな功績があった人、仕事中の事故や事件に巻き込まれて亡くなった場合等に行われることが多いです。複数のグループ企業の創業者が亡くなったような場合には、グループ企業が共同で行うこともあります。
香典は課税対象になる?
通夜や葬儀に参列する際には、香典を供えるのが一般的です。香典は常識的な範囲の金額であれば課税対象にはなりません。所得税や相続税、贈与税の対象とはならないのです。しかし、会社葬の場合には、葬儀は企業活動の一環と考えられます。葬儀にかかる費用は経費として認められており、葬儀会場の費用や飲食費なども含まれます。香典を葬儀に参列した人から会社が受け取った場合には、法人税法上は雑収入として計上されることになります。そのため香典は課税対象となるので、企業が受け取った香典を遺族に渡すと贈与税がかかってしまいます。それに会社葬の費用は経費になりますが、全ての費用が経費に認められるわけではありません。故人の戒名料などは経費に認められていませんし、香典返しも経費にはなりません。香典返しの費用を会社が負担した場合、遺族への贈与とみなされてしまいます。遺族は贈与税を支払わなければいけなくなります。
香典は遺族が受け取る
会社葬であっても香典を企業がもらうと税制上面倒なことになるので、香典は遺族が受け取るのが基本です。受付などで会社の社員が受け取ることはありますが、それはあくまでも取り次ぐだけで遺族に取り次ぎます。当然、香典返しを行うのも遺族になります。ただし、会社葬の場合には規模が大きいことが多いので、弔問客の数も多いことが予想されます。会社関係者の弔問客も多いですから、葬儀委員長が香典返しの手配を担当するといったこともあるようです。香典返しで選ばれているものには、お茶やコーヒー等の飲み物類や海苔・乾麺・乾物といった日持ちがする食べ物などがあります。フェイスタオルなど使い勝手の良いアイテムも選ばれやすいです。石鹸やハンドソープ、洗剤などもあります。会社葬の場合には弔問客の年代が幅広いので、それぞれの好みに合わせるのは難しいといえます。そこでカタログギフト等が選ばれることが多くなっています。
香典を辞退することも多い
会社葬では最近、香典を受け取らずに辞退することも増えてきています。これは会社葬に限ったことではありません。一般葬や家族葬でも香典を受け取らない選択する人が多くなっています。弔問客が何人来るか分からないので、香典返しをどの程度用意すればいいかよく分からないといった事情もあります。最初から香典を辞退してしまった方がスッキリし、費用の目途もつけやすいということもあるようです。会社葬で香典を辞退する際には、社葬案内などで事前に告知しておくことが大切になります。参列する人が香典の準備をしなくていいように、早めに伝えておく必要があります。また、社葬案内などで告知をしておいても忘れてしまうなどして、香典を持参してくる人もいます。そこで受付などでも香典を辞退することを書いた看板を設置しておくと、参列者が迷わなくて済みます。香典を持参してきた人に対しては、言葉を添えて辞退する旨を伝えるようにします。
まとめ
会社葬は企業が主体となって葬儀を行いますが、香典は遺族が受け取ることが多いです。遺族の場合には課税対象にはなりませんが、企業が受け取ると課税対象になってしまいます。そのため香典返しも遺族が行うのが一般的です。会社葬の場合には幅広い年代の人が弔問に訪れるので、香典返しにはほしい物を自由に選べるカタログギフト等が選ばれています。最近では、香典を辞退することも多くあります。その際には事前に告知しておくことが大切です。