社葬実行担当者は、重要取引先会葬者に失礼がないよう細心の注意を払う。「社葬」が「後継者による会社の継承の儀礼」としての側面を持ち、社長の死後も、それまでの企業ネットワーク中の位置を確認し維持するという、現世的な意味での会社永続の願いに基づいているためである。
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会社葬とは創業者や会長、社長など会社の設立と発展に不可欠だった人に対する葬儀のことを言います。通常の葬儀とは区別される会社葬は、施主がその会社となり、葬儀の運営から費用まで、すべて会社でおこなうことになります。このように会社葬には独自の決まりや運営上のマナーがあるため、初めて会社葬を運営する場合は、不安や疑問が多くなるかもしれません。そこで本記事では、会社葬の運営マナーについて、事前に知っておくべきことに絞ってご紹介します。
故人の遺族に対する配慮を忘れない
故人の遺族から訃報を受けたら、個人宅を訪れてお悔やみの気持ちを伝えます。その際運営側として注意する点は、遺族の気持ちを尊重することです。会社葬は遺族と共に進めていきますが、その前に親近者だけが参列する密葬を希望する場合もあります。その時に会社の関係者が大勢詰めかけてしまうと、遺族の心情を害することになります。直接遺族にお悔やみの気持ちを伝えるのは、社葬担当者や経営陣など、ごく限られた人物にするのが賢明です。
会社葬はできるだけ早めにおこなうことが良しとされていますが、遺族の意向を無視してしまっては、後のトラブルになりかねませんので、注意が必要です。お悔やみの気持ちを伝えた後、遺族とマメに連絡を取りながら、相手の様子をうかがうようにしましょう。大事な身内を失った後は、誰でも気持ちが不安定になり、悲しみに暮れるものです。相手が落ち着いて、こちらの話に耳を傾けてくれる状況であるというタイミングを見計らい、会社葬の相談をするのが無難です。
会社葬の流れと担当社員の役割を把握する
会社葬は会社が施主となり実施しますので、社員は運営に参加する場合がほとんどです。会社葬を円滑に行うには、それぞれの役割を明確にして適切に行動するのが運営マナーの基本になります。会社の取締役会で会社葬の実施が決議されると、葬儀委員長が専任されます。葬儀委員長は運営の責任者となり、社葬の形式や葬儀会場そして葬儀社などを決めていきます。
会社葬の日程が決まると、次に社員を各係に割り当てる作業です。会社葬の主な係には受付や案内、会計そして参列者をもてなす接待係などです。会社葬の運営本部が設置され、担当社員は本部の指示を受けながら、会社葬の実施の段取りを進めていきます。
運営本部を設置して会社葬が具体的に実施されることが決まった時点で、社内外に通知を出します。早急に連絡する必要がある場合は電話をしてから通知状を送り、そうでなければ通知状を郵送するのがマナーです。もし新聞上に告知することを検討している場合は、この時点で広告を出します。供花の注文も、忘れないようにしましょう。
限られた時間内で会社葬をおこなう必要があるため、運営側はスケジュール管理を徹底します。通常会社葬の参列者は多く、できる人から焼香をしていただくよう参列者を促すなど事前に打ち合わせをしましょう。会社葬当日は、参列者が戸惑ったり不快な思いをしたりしないように気を配ることが大切です。
会社葬にあった会場を選ぶ
会社葬をおこなうにあたり、会場選びはとても重要です。会社葬は参列者が数百人数千人となる場合が多く、多くの人がアクセスしても混乱が起きない、数千人収容するのに十分なスペースなど、参列者がスムーズに移動できるよう配慮する必要があります。また会社葬は大規模な会になりますので、近隣住民への配慮も忘れないようにしましょう。
会社葬には通常社員を含め得意先や会社関係者、そして故人の身内などが参加します。早い段階でできるだけ正確な参加人数を把握し、人数に見合った規模の会場を探しましょう。会社葬は葬儀会場やセレモニー会館、ホテルなどでおこなわれます。大きなイベントを開催するのに十分な駐車場スペースを確保しているか、誰でもアクセスしやすい場所にあるかといったことが選ぶ上で大事なポイントになります。ホテルの中には遺骨の持ち込みを禁止していることもあります。確認せずに遺骨を持ち込んでしまうと、トラブルに発展する恐れがありますので、事前に確認することは不可欠です。
運営スタッフの服装について
会社葬に運営側として参加する場合の服装は、担当者に確認することが一番ですが、通常葬儀委員長と立礼役員は、モーニングに黒ネクタイです。ポケットチーフやカフスは身につけません。モーニングの代わりに略礼服を指定する会社もあります。女性の正礼装は羽二重に五つ紋の黒無地の和装となります。その他の役員は略礼服で、ポケットチーフやカフスは身につけません。男性社員は黒のスーツに黒ネクタイそして白いワイシャツというのがマナーです。女性は黒色のスーツまたはワンピースで、アクセサリーは不可となります。ただし結婚指輪や真珠(またはブラックオニキス)のネックレスは良しとされています。二連のネックレスは、不幸が重なるとされ葬儀で身につけることは敬遠されています。身につけるなら、一連のネックレスです。男性もネクタイピンなど光るものを身につけないように気をつけましょう。男女とも髪型は清潔感のあるもので、長い髪の場合は低い位置で束ねるのが無難です。メイクですがあまり派手にならないように、ナチュラルメイクを心がけます。
まとめ
会社葬に関する運営マナーについてご紹介しました。運営側は会社葬を円滑におこなうという責任があります。それを果たすためには遺族と協力しながら準備を進め、参列者が気持ちよく参加できるように配慮することが不可欠です。参列者や遺族の気持ちを考えて行動することが、運営マナーのポイントになるでしょう。会社葬を実施する前に、運営本部と綿密に連携を取りながら、会社葬の流れを把握することで、どう行動してよいかがわかるようになります。紹介したマナーを参考に、参列者と運営者が満足するような会社葬にしましょう。